怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
*
「――所長……お義父さま。こちらお見舞いのお花です」
「わざわざありがとう、優月さん。きれいな花だ」
翌日の日曜の午後。
私は、悠正さんと一緒に所長が入院している病院へお見舞いに訪れた。
「ところで悠正。大鷹不動産の件だが――」
「それなら父さんの代わりにしっかりと引き継いで、向こうの社長にももう挨拶を済ませてる」
「そうか。それなら安心だ。所長室に必要な書類が揃っているから――」
水を入れた花瓶に花をさしていると、悠正さんと所長の話し声が聞こえた。病室だというのにふたりはさっそく仕事の話を始めてしまったらしい。
内容からしておそらく顧問契約について。隠岐総合法律事務所はいくつかの企業や病院、団体などと顧問契約を結んでいるが、その中でも今話題に上がっている大鷹不動産が取引先としは最大手だ。
これまで所長が顧問弁護士を務めていたけれど、今回の入院をきっかけに息子である悠正さんに引き継がれたらしい。
その話が一通り終わった頃、「優月さんもこちらにおいで」と所長に手招きをされた。近付くと、ベッドの横のパイプ椅子に座っていた悠正さんがすっと立ち上がる。