怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
自分なりにそう解釈したあとでふと先ほどの優月の言葉を思い出した俺は、もうひとつとんでもない事実を言われた気がして慌ててしまう。
「ちょっと待って。優月のお父さんって自殺……したのか?」
言葉にするのを少しためらいながらも尋ねると、「はい」と優月がうなずいた。
「会社の横領事件で犯人扱いをされて……あれ? 私、悠正さんにこの話したことありましたよね?」
「いや、ないな。今初めて聞いて驚いているところ」
「すみません。以前どこかで話したと思っていました」
そう言って、優月は途端に焦り出す。
一方の俺は優月の口からまた新たな事実が飛び出したことに動揺している。
額の傷について尋ねただけなのに、誘拐未遂事件や父親が自ら命を絶ったことなど優月のいろんな過去を知ることになった。
どうやら優月の父親は横領事件の免罪被害にあったらしい。裁判で無実が証明されたものの、それ以降も会社では腫物のように扱われてしまい、そに耐えられずに自ら命を絶ったそうだ。
そこまで聞いて、ぼんやりと思い出した。そういえば以前、優月がまだうちの事務所に入ったばかりの頃に聞いたことがあったかもしれない。
なぜ弁護士事務所で働こうと思ったのかを尋ねたとき、子供の頃に父親が弁護士にお世話になり、その仕事振りに感動して弁護士を目指すようになったと話していた。