怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「涙を流してくれるほど父に親身に寄り添ってくれていたのだと思ったら、その弁護士さんがとても素敵に思えて、私の憧れになりました」
静かにそう告げた優月が柔らかく微笑んだ。
「今ではもう顔も名前も思い出せないけど、私が弁護士になりたいと思ったきっかけはその人なんです。結局、母に反対されて諦めましたけど」
確か以前聞いた話だと優月が弁護士になる夢を諦めたのは自分がその職に向いていないからだった気がする。そうではなくて本当は母親に反対されたのか。
「でも、弁護士が憧れの職業なのは今も変わりません。父と同じように無実の罪に問われて苦しんでいる人や、トラブルに巻き込まれて困っている人たちを法律の力を使って正しく守ろうとしている弁護士は私の憧れです。特に、悠正さんには強く憧れています」
「俺?」
突然自分の名前が出てきて、思わず聞き返してしまった。優月が「はい」と大きくうなずき、言葉を続ける。
「私がまだ隠岐総合法律事務所に入ったばかりの頃の悠正さんは、当時世間を大きく騒がせていた収賄事件を扱ってましたよね」
「ああ、あれか。大変だったな……」
思い出してつい苦笑が漏れてしまう。