怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~

 でも、今回ばかりはそうもいかない。お見合いだけはどうしても嫌なのだ。

 これまで母にいろんなことを決められて、それに従って生きてきた。もしも結婚相手まで決められてしまったら、私の人生は母の言いなり。自分で選んで決めたことなんてなにもなくなってしまう。

 それでいいのかな……と、ふと自分の中で疑問が生まれたのは母にお見合いをするように言われたときだった。

 なんでも母に決められてしまう自分の人生が滑稽に思えて、せめて人生のパートナーは自分で決めたいと思った。

 だからお見合いはしたくない。そう何度も訴えているのに少しも聞く耳を持ってくれない母に対しての不満が爆発したのが昨日。私は、初めて母に反抗したのだ。

 昨日の慰労会に参加した私は携帯端末の電源を落とすことで母との連絡を絶ち、門限である九時を過ぎても自宅には帰らなかった。

 とはいっても外泊は予定外だった。本当は母を少し心配させてから、深夜にこっそりと自宅に帰ろうと思っていたのだ。

 けれど、隠岐先生に誘われたバーで酔い潰れてしまった結果、彼の自宅マンションで一夜を過ごして今に至る――。

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