怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
《優月はどうしてそんなにお見合いを拒むの? お相手の男性は優月よりも年上できっと頼りになるわ。勤務先だって大きな会社だし、収入も高くて安定しているのよ》
「でも――」
《それに、お酒もたばこもギャンブルもやらない真面目な方よ。きっと優月を大切にして、幸せにしてくれるわ。お母さんの選んだ人なら間違いないの》
「でも私、お見合いだけは――」
《あなたはお母さんの決めた相手と結婚をするの。いいわね。だからとにかく早く帰ってきて。これからお母さんと一緒にワンピースを買いにいきましょう》
「お母さん……」
どうして母はいつも私の話を聞かずに自分の意見ばかりを言うのだろう。悲しさと怒りが同時に込み上げて、ぐちゃぐちゃな感情に押しつぶされそうだ。
どうしてもお見合いはしたくないのに、いくら拒んでも受け入れてもらえない。どうしたらいいのだろう。お見合いを回避できるなにかいい案はないだろうか。
必死に考えた私はふと、とある嘘を思いついた。
「お母さん。……私、彼氏がいるの。昨夜はその人のマンションに泊まった」
ただお見合いを拒んでいるだけよりも、きちんとした理由があった方が納得してもらえるような気がした。
「彼氏がいるから、お見合いはしない」