怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
先ほど悠正さんが片手で丸めたのは鏑木さんの名刺だったようだ。
帰宅したと同時にふとスカートのポケットから取り出して、とりあえずローテーブルの上に置いたままだったことを思い出す。
それを悠正さんが見つけたのだろう。くしゃりと丸めたそれは、彼によってゴミ箱に捨てられてしまった。
「あ……」
思わず声が漏れてしまう。
名刺を貰ったものの保管方法に迷っていた。このまま持っているのもためらわれ、かと言って捨てることもできずにいたけれど、悠正さんがなんのためらいもなくゴミ箱に捨ててしまう。
「捨てちゃいけなかった? もしかして、連絡するために大事に取っておいた?」
悠正さんが静かにそう問い掛けてくる。
「鏑木と会ったの?」
「……はい」
尋ねられ、私はうなずく。
「今日の午後、裁判所に出掛けた帰りに会いました」
「そのときにあいつから名刺を渡されたのか?」
「はい」
「どうして受け取った? あいつとは関わるなって言ったよな」
「それは……」
受け取ったというよりも無理やり手に握らされてしまった。