怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そう説明しようと思ったものの、ふと思い出してしまったのは悠正さんが女性と一緒にカフェにいた昼間の光景。
鏑木さんは不倫だと言った。離婚するなら連絡してほしいと言われて名刺を渡された。でも、それを悠正さんには言えなくて思わず視線を下に落としてしまう。
「俺の告白は断っておいて、あいつとはこそこそ会うつもりだったのか」
低い声で告げられた彼の言葉を否定するために私はパッと顔を上げる。
「違います。そうじゃなくて――」
「じゃあどうして名刺なんか持ってるんだ」
普段は冷静な悠正さんが少しだけ声を荒げる。それに驚いて口を閉じた私は、思わず後退ってしまった。
悠正さんが怒っている。私が鏑木さんの名刺を持っていたから? 関わるなと言われたのに会っていたから?
でも、それは裁判所でたまたま遭遇しただけで、名刺も無理やり渡されただけ。
それに比べて悠正さんは……。
「自分だって昔の恋人とふたりで会っていたのに」
ぽつりとそんな言葉がこぼれた。
「恋人?」
しらばっくれようとしているのか、悠正さんが首をかしげる。
「私、見たんです」
「見たってなにを?」