怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
ついさっきまで怒った様子だった悠正さんが今度は冷静に私に尋ねた。そんな彼の目を見つめて私は言葉を返す。
「昨日は私のことを好きだと言ってくれたのに、あれは嘘だったんですね。本当はまだむかしの恋人のことが好きなんじゃないですか」
「ちょっと待って、優月。なにを言って――」
「知らないふりをするならもういいです」
私はキッチンを飛び出した。このまま悠正さんと一緒にいたくない。
リビングをあとにするため彼の隣を通りすぎようとしたところで、「待って」と手首を掴まれる。
「話をしよう、優月。きみはなにか誤解をしてる」
「悠正さんも誤解しています。私と鏑木さんのこと」
「それならなおさら話し合わないと」
私の手首を掴む悠正さんの手にぐっと力が込められる。痛くはないものの、このまま私を離そうとしない彼の意志が伝わってくるようだった。
でも、私は静かに首を横に振った。
「今の状態でまともに話し合える気がしません。それに私、昨日からずっと避けられているし……」
「それは……、ごめん」
悠正さんの視線が気まずそうに私から逸らされた。