怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~

 それと同時に彼の手の力がゆるむ。その隙に私は素早く手を振り解き、距離を取るように後ろに下がった。

 そのまま背を向けて足早にリビングを飛び出す。自室に向かい、後ろ手にパタンと扉を閉めると背中を付けてその場にずるずると座り込んだ。


「……優月」


 扉の向こうから悠正さんの声が聞こえた。鍵はかかっていないので開けようと思えばできるのに彼はそれをしない。


「俺はきみをさけていたわけじゃないんだ。ただ、顔を合わせるのが気まずくて。優月に拒絶されたことがつらかった。ごめん」


 拒絶……。

 それは、私が彼の告白に‟ごめんなさい„と告げたことだろう。

 拒絶をしたわけじゃなかった。動揺してつい口から出てしまっただけで、悠正さんの告白を断りたかったわけじゃない。


「落ち着いたら話をしよう。きみはなにか誤解をしているようだけど、俺が好きなのは優月だけだから」


 その言葉を聞いた途端、なんだかとても泣きたくなった。

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