怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「痛くないわけないだろ。大丈夫とか言うなよ」
悠正さんの顔が苦しそうに歪む。
すると、数名の店員が慌てたように私たちのところへ駆け寄ってきた。その手には白い布巾のようなものをたくさんも持っていて、それを受け取った悠正さんが出血している私の腕をおさえて圧迫するように当てる。けれどすぐに真っ赤に染まってしまい、そのたびにまた新しいのを重ねてさらに強く押し当てる。
必死になって私の血を止めようとしている悠正さんを見ていたら自然と涙がこぼれてきた。
こんなときだけど、やっぱり私は彼のことがすごく好きだと改めて実感する。悠正さんの心には今もまだ元恋人がいるのだとしても、私は彼が好きだ……。
「痛むか?」
悠正さんは私の涙の理由を切られた腕のせいだと思ったらしい。
「待ってろよ。すぐに血止まるからな。大丈夫だから」
私を安心させるために悠正さんはそう言ってくれたのだろう。でも、不安な面持ちで私の手当てを続ける彼が自分自身にも強くそう言い聞かせているようにも聞こえた。
視界が徐々に狭くなり、周囲の声がもうあまりよく聞こえない。
もしかして私はもうだめなのだろうか……。