怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
俺の言葉を遮るように別れの言葉を口にした優月がダイニングテーブルから離れ、足早に俺の横を通りすぎていく。
引き止めるためにその手を掴もうとしたものの、寸前のところで交わされてしまい俺の手はむなしくも空を切った。
そのまま優月はリビングから去ってしまった。
残されたのは呆然と立ち尽くす俺と、ダイニングテーブルに置かれた離婚届。そこにはきれいな字で優月の名前などが記入されていて、あとは俺が記入をすれば本当にもう今すぐにでも提出できそうだ。
離婚するのか?
優月がそれを望んでいるのか?
『あなたは自分が本当に好きな人と一緒になるべきです』
そんなの俺にとっては優月しかいない。それなのになぜ離婚しなければならない。
俺は、ダイニングテーブルに置かれた離婚届を手に取るとそのまま片手でくしゃりと丸めた。