怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「あいつになにを言われても今までずっと相手にしてこなかったが、今回ばかりはさすがに怒るぞ。ここに鏑木を呼べ」
「隠岐君、落ち着いて。壮のことは私が彼女としてお説教をしておくから」
言い合っているふたりの顔を交互に見ながら、私は話の内容についていけない。つまり、どういうことなのだろうか……?
ぽかんとした表情を浮かべていると、悠正さんの手がふわりを私の頭に乗った。
「そういうことだ、優月。騙されてたんだよ、鏑木に」
「騙された……。それじゃあ、鏑木さんのあの言葉は? お前の女を取ってごめんって悠正さんに言っていたのはどういう意味ですか」
「それも含めて騙されていたんだ。俺は律花に恋愛感情は一切ないし、それは律花も同じ。でも、学生の頃から鏑木はなぜか俺が律花のことを好きだと思い込んでいるらしい。だから俺じゃなくて自分が律花と付き合えたことがうれしくて、俺に勝てた気になっているんだろうな」
「……そうだったんですね」
「だから俺は言ったよな。鏑木の話は信じるな、忘れろって。あいつはむかしから俺のことを目の敵にしているところがあるから、こういう嫌がらせばかりしてくるんだよ」