怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
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リビングに戻ると、ダイニングテーブルには私が渡した離婚届が置かれたままになっていた。けれど、なぜかくしゃくしゃになっている。
「――優月」
振り返った悠正さんが腕を伸ばし、私の体をぐっと引き寄せた。あっという間に彼に抱き締められてしまう。
「このまま話をさせてくれないか。そうでないと優月がまた俺から逃げていきそうだから」
悠正さんの腕の力がいっそう強まる。
「これだけは最初に言わせてほしいんだけど、俺が好きなのは優月だ。前にも話したように、優月がうちの事務所に入った頃から惚れてる」
「でも、悠正さんは私と一緒にはいたくないんですよね」
雪平さんとの誤解はとけたものの、彼のこの言葉の真意はまだわかっていない。
「私が怪我をした日にこのマンションに帰ってきてから言いましたよね。俺はこのままきみと一緒にいてもいいのかな、って。あれはどういう意味ですか。私は、悠正さんが雪平さんのことを好きだから一緒になりたくて、私とはもういられないという意味だと思いました」