怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「それで、俺と別れるために離婚届を渡したんだな」
「私と離婚すれば悠正さんは雪平さんと一緒になれるので、このままだと私はじゃまなのかと……」
「そんなこと思うわけないだろ」
抱き締めていた体を少しだけ離した悠正さんが私を見つめる。
「あれはそういう意味で言ったんじゃないんだ。でも、誤解を招くような言い方をしてすまなかった」
悠正さんはあの言葉の真相をゆっくりと話してくれた。
「弁護士をしていると、今回の律花のように逆恨みをされて危険な目に合う可能性が俺にもあるかもしれない。俺に危害を加えようとするならいい。そういう危険も覚悟でこの仕事をしているわけだから」
そう言って悠正さんは苦笑すると、再び真剣な表情に戻った。
「でも、中には危害を加えようとする対象を弁護士本人ではなく家族など周囲の人間に向けるようなやつもいるかもしれない。そうなったとき俺の妻である優月が狙われる可能性だってあるんだ。俺といることで優月を危険にさらすくらいなら、一緒にいるべきではないと思った」
「悠正さん……それじゃあ、私のために?」