怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「ライバル増えたって、あなた彼氏いるでしょ」
「いますけど~。隠岐先生かっこいいじゃないですか。惚れちゃいますよ」
「まぁ、そうね……。確かに隠岐先生はかっこいいわよね。私も旦那のいる身だけど、隠岐先生に話し掛けられるときゅんきゅんしちゃうから」
「ですよね。きゅんきゅんしますよね」
同僚ふたりが隠岐先生の話題で盛り上がるのをしばらく黙って見つめていると、不意に戸田さんの視線が私に向いた。
「そういえば優月さん。先週の金曜日、隠岐先生と一緒に慰労会を抜けてましたよね」
「えっ、そうなの優月ちゃん。私それ知らないんだけど」
同僚ふたりにじっと見つめられ、思わずギクッと体が跳ねた。
私と隠岐先生がお酒の勢いで体を重ねてしまった日から今日で二日。
先ほどの電話があの日以来初めて隠岐先生と交わす会話だった。もっとぎくしゃくしてしまうと思っていたけれど、意外と普通に話せたことにホッとしている。
でも、それは電話だからで、実際に顔を見て話すとなるとやはり意識してしまうのだろうか……。
「なになに~。優月ちゃん、隠岐先生とふたりでどこへ行ったのかな」
「私も気になります。優月さん、実は隠岐先生といい雰囲気なんですか」
いい雰囲気って、どういう雰囲気だろう。