怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
門限さえなければ、憧れの弁護士である悠正さんと食事をしてみたいとずっと思っていた。ただの事務員である私のことをどうしてそんなに頻繁に誘ってくれるのかはわからなかったけれどいつもうれしかった。だから余計に断るのが心苦しかった。
「でも、優月はもう自由だ」
悠正さんがはっきりとそう告げる。
「実家を出てお母さんのそばを離れたんだから、もちろんもう門限もない。優月のすることにいちいち口を出す人はもういないから、好きなことをして好きに過ごせる。俺は優月を縛りつけたりはしないから」
彼の言葉がじんわりと胸に響いた。
誘拐未遂事件をきっかけに私に対して異常なまでの過保護になってしまった母は、なにかにつけて私のすることに口を出してきた。
振り返ると自分で決めたことなんてそれほどないような気がする。私は、ずっと母に言われてきたことを守ってきたから。
でも、そんな日々も悠正さんとの結婚で変わった。私はようやく母の束縛から解放されたのだ。
もう門限もないし、外泊だってしてもいい。誰と食事に出掛けてもいいし、旅行にだって行ける。改めてそのことを実感して、じわじわとうれしさが込み上げてきた。