怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~


『夫婦っぽいじゃなくて俺たちはもう夫婦だろ』


 悠正さんの言葉を思い出し、思わず赤面してしまう。


『俺の奥さんだって自覚しっかり持てよ』


 そっか……。

 私と悠正さんはもう夫婦で、私は彼の奥さんなんだ。

 改めてそう実感したとき、なんだか自分がとんでもないことをしてしまった気がした。

 母の束縛から逃れられるならと悠正さんの提案に乗り結婚したものの、本当によかったのだろうか。

 そんなことを思ったところで後には引けないけれど、私なんかが悠正さんの奥さんでいいのかと今さらながらに不安になってしまう。

 なにせ私にとって悠正さんは憧れの弁護士なのだ。そんな雲の上の存在の人と結婚したという事実が不思議でたまらない。


「なんだかまだ信じられないな……」


 ぽつりとこぼれた私の言葉は、十月初旬の爽やかな風に乗り、そっと流されて消えていった。

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