怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
それなのに入籍のお祝いをするのはどうなのだろう……。
そう思ったものの、これからは同じ家で暮らすのだし、書類上では夫婦になったのだからやはりそのお祝いをしたくなった。
悠正さんが帰宅したのは予定通り七時を過ぎた頃。
「おかえりなさい。お疲れさまです」
玄関の扉が開く音が聞こえたのでお出迎えをするために向かうと、スーツ姿の悠正さんは後ろ手になにかを隠し持っていた。
なんだろうと不思議に思っていると、悠正さんがそれを私に差し出す。現れたのはカラフルな花束だ。
「これを優月に」
「私に?」
受け取ると、ふわっと甘い香りがした。
バラやガーベラをメインに季節の花で作られた花束はとてもきれいで、うっとりと見惚れてしまう。
それに、男性から花束を貰うのは初めてなのでとてもうれしい。でも、なぜ突然花束……?
「入籍祝い。昨日はバタバタしていてなにもできなかったから」
悠正さんはそう言ってにこりと微笑んだ。