あの日、雪が降っていてよかった。【完】
「………っと、じゃあ、」

《も、もう大丈夫なんですか?》

「あ、えと、1回聴けば、大体は…、」


既に人が集まっているこの場で弾くのは

なんとなく気が引けたけど

"はい"と言ってしまったものは仕方ない。


「………ま、間違えちゃったらごめんなさい、」

《そ、そんな、全然!》


よろしくお願いします、と頭を下げる女の子に

軽く会釈をしてから

私はそっと、鍵盤に触れた。
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