10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

*****

 初めて果歩ちゃんに会ったのは、果歩ちゃんがまだ小学校に入る前だ。
 大和に懐いていて、大和の両親にもなついていて、聞いてみると成井家は、果歩ちゃんの父親の遠縁の親戚だと言う。

 そして、その父親は幼い果歩ちゃんを置いて肺がんで亡くなったのだということも聞いた。
 僕は果歩ちゃんと同い年のとき、同じ病気で母を亡くしていて、なんだか自分に似たものをその小さな子に感じていた。

 それから随分会わなくて、久しぶりに彼女に会ったのは、果歩ちゃんの母親のお葬式の日。

 果歩ちゃんのお母さんが亡くなったことを大和から聞いて、なんとなく足が葬儀場に向かっていた。
< 214 / 333 >

この作品をシェア

pagetop