追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
村の子供たちを等しく我が孫のように思っている村長は、生まれて初めて神という存在への疑問を抱くのだった。



(うわぁああああああああああっ!!)

両親から神学校への入学を告げられた瞬間、ココはすべてを思い出していた。

神学校という言葉がスイッチになっていたかのように、前回の人生とその最期をはっきりと自覚した。

「ココ、不安かもしれないけど、あなたなら大丈夫よ」

母親は黙り込んだココの態度を、神学校入学の不安によるものだと思ったらしい。

しっかりとココの体を抱き締め、落ち着かせるように背中を叩く。

「あなたは神様に選ばれた子。きっと神様が守ってくださるわ」

「そうだぞ、ココ。きっと村にいたらできなかったことも、神学校ならできるはずだ。お父さんも村の外にはほとんど出たことがないから、なにがあるかは分からないけどな」

父親が優しく笑いかけてくる。

それは幼い我が子の不安を少しでも和らげようとする愛情の表れだろう。

それと同時に――

(あ、お父さんたちも不安なんだ)

ココは気付いた。

両親の言葉は、そのまま自分たちに向けたものでもあるのだと。

幼い我が子をひとりで送り出さなければならない自分たちの不安を、ココに話しかけることで払拭しようとしているのだ。

「――大丈夫だよ、お父さん、お母さん」

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