追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした
父は馬車の中で食べられるようにと、ココが好きだったドライフルーツを袋一杯持たせたし、ここの友人である子どもたちは再会を祈って花冠を作ってくれた。

「ココよ、辛いことがあれば、いつでも戻ってきなさい。お前はこの村の子供なのだからな」

「はい!」

村長の激励の言葉を最後に、ココは馬車に乗り込む。

神殿差し回しの馬車は長旅のための特別な仕立てで、村にある板張りの荷車とは比べものにならないほどに豪華だった。

(ひえっ、高級車っ)

乗ったことはないが、もしかしたらリムジンという車はこんな感じだったのかもしれない。ココは少し緊張しながら座席に腰を下ろし、御者が静かに扉を閉めた。

「…………」

緊張で手が震える。

それを押さえ込むために、ココは揃えた膝の上で両手を固く握り締めた。

(まずい、心がこの体に引っ張られる)

前世の記憶はあるが、ココとしての人格はこの十年と少しで形成されたものだ。いくら別の人生を一度経験していたとしても、縁もゆかりもない場所に子供の身で連れていかれることに不安を抱かないはずがない。

「……ひっく」

堪えきれず、涙が出てくる。

窓の外を見れば、きっと両親と村のみんながいるだろう。だがその姿を見てしまったら、きっと耐えられない。

「うぐ……ひぐ……」

涙が手の甲に落ちる。

さらに強くてを握り締め、唇を噛み締めた。

「出発します」

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