花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
その昔、王より大聖女となるよう打診がきたらしいが、王族の犬では金を稼げないからとあっさり蹴った逸話も残っている。
今回はそんなオレリアの一人勝ちだろうとエミリーが頭を抱えると、誰かが店の前で足を止めた。
「今回の出店はレベルが高いな。オレリア商会だけでなく、メイルランド辺境伯の魔法薬まで売られているなんて」
剣を腰に携えた男性が商品を手に取って、「高品質だと見ただけでわかる。さすがだ」と感嘆のため息をついている。
男性の右隣には屈強な体格の男性、左隣には杖状の武器の魔導具を手にした女性。その様子から冒険者のパーティーだと判断し、エミリーは身を乗り出す。
「冒険者には必需品ですもの。おひとついかがですか!」
真ん中に立つ男性はにっこりと微笑むエミリーをじっと見つめ返していたが、やがて気乗りしない声を上げた。
「確かにそうだけどさ。いくらメイルランド辺境伯の魔法薬でも、オレリア商会と同じ値段ならあっちを買うよ」
「……お、同じ? そんなまさか」
オレリア商会の一級品魔法薬はたいてい平均の1500エネルで売られている。それを、守銭奴と言っても過言でないオレリアが、半額に近い800エネルで売るわけがない。