花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
信じられないという気持ちいっぱいでエミリーがオレリアを見ると、ちょうどオレリアもエミリーへと視線を向けた。
そして、エミリーの驚愕の表情から察したようで、にやりと笑ってみせた。
それに対し、エミリーも微笑みを浮かべてみせたが、侍女と侍従からほぼ同時に「お嬢様、目が怖いです」と指摘が入る。
商売の邪魔をする気ねと心の中で対抗心を燃やし始めた時、「そうだなぁ」と先程の男性客が大きく呟き、エミリーは我にかえった。
「もう少し値引きしてくれるってならこっちで買っても良いけど」
「……す、すみません。契約主がこの場にいないので、それはできません」
男の要求に、エミリーは表情を曇らせた。
契約主とは魔法薬の製造と値段の設定をした者のことで、ここではバリーのことを指す。
エミリーは販売を委託されただけなので、バリーの許可なく勝手に値下げするのは許されない。
魔法契約の上での委託なため、違反すると罰を受ける。腕輪が腕をきつく締め付け、しばらく激痛にのたうち回ることになるのだ。
それを買う側もわかっているため、契約主がその場にいない場合に使える、購入を断る際の常套句となっている。