花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「テドからの手紙だよ。あの子はね、エトリックスクール卒業後、うちで勉強したいと訪ねてきてしばらく働いていたんだ。エミリーがうちに出入りする少し前にモースリーに戻って、それが今や薬師院の院長だなんて面白いね」
テド院長がオレリアを「ばあさん」と呼び、オレリアも院長を「坊主」と呼んでいる。
親しみを込めて呼び合っていることからもふたりの仲が良いことが伺え、兄弟子みたいな存在だったのなら、もう少しテド院長の話に耳を傾けるべきだったとエミリーは反省する。
「契約を前もって結んでおいてあるから、テドからの手紙は私しか受け取れないようになってるし、逆もまた然りさ」
「秘密の文通ね」とエミリーが納得すると、オレリアは「そんな可愛らしいものじゃないさ」と笑う。
「手紙を半年に一度くらい送ってきて、内容はロレッタや聖女院の愚痴が八割、モースリーでの旬な話題が二割ってところさ。鬱陶しいったらありゃしない。しかもここ一ヶ月で、これが三度目だよ。彼なりにエミーの死に関して疑問を抱いているみたいだね」
「……私の死」
モースリーで自分は死んだことになっていると知ってエミリーはショックを受ける。