花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「買い出しに出たついでに、本を買ってきましたよ」
エミリーは勢いよく振り返り、バランスを崩しながら踏み台から降りてアデルの元へかけていく。「はいどうぞ」と手渡された紙袋に目を輝かせた。
「アデルありがとう!……って、絵本じゃないの! さすがにこれはないわ!」
中に入っていたのは『土兎の大冒険』という誰しも子供の頃に一度は読んだことがあるであろうグラント王国で有名な絵本だ。
絵本を両手で抱え持ってしかめっ面をしたエミリーに、アデルが「お似合いですよ」と微笑む。
揶揄われたことに「アデル!」とエミリーが吠えると、テーブルで優雅に食後の紅茶を楽しんでいたオレリアが「子供はいつでも元気だね」とぼやいた。
エミリーは気を取り直してオレリアの元へ近づいていく。
「ねぇ、庭の温室で栽培している薬草を詰んでも良い? ぼんやりお菓子ばかり食べてると腕も鈍りそうだし、なんでも良いから魔法薬を作りたいの」
「構わないよ」
「ありがとう! 一階の調合室も借りるわね!」
持っていた絵本をテーブルの上に置いて、玄関に向かって走り出したエミリーの後をアデルが「手伝います」と追いかけた。