花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
エミリーは踏み台から飛び降りると、パタパタと軽やかな足音を立てて二階の自室に向かう。
クローゼットから引っ張り出した黄色のワンピースへともたつきながら着替え、鏡でちゃんと自分の姿をチェックしてから、オレリアの元へと舞い戻っていく。
アデルと難しい顔で話し合っていたオレリアに自分の身の上設定を聞かされてから、いざオレリア商会へ。
オレリアの屋敷の敷地は広く、ぐるりと塀で囲まれていて、店は敷地の隣に建っているため門から外の通りへいったん出る必要がある。
「良いかい。店にいる間はいたいけで内気な三歳児をしっかり演じるんだよ」
「……自信ないけど、頑張るわ」
先ほどオレリアから、エミリーは両親を亡くし孤児院で暮らしていたという設定でいくと言われたのだ。
名前は面倒くさいからそのまま。オレリアから新たにエミリーと名付けられ、養女として迎え入れられた。
そして何か聞かれても、子供だからわからないを貫くこと。
オレリアと手を繫いで、久しぶりに店の中へと足を踏み入れる。
壁には魔法薬の瓶や魔導具がいくつか並び、受け付けはふたつでそのどちらも接客中。