花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
通りすがりにダリウスと目が合うもなぜか睨みつけられ、エミリーはたじろぎながら先へと進んでいく。
「必要ないでしょうけど」と小声で前置きしてから、アデルがひとつひとつ部屋の説明をする。
もちろん不要だが、エミリーは懐かしさを覚えながら「うんうん」とアデルの言葉に熱心に耳を傾けた。
最後にたどり着いた薬草庫へと、エミリーは嬉々として飛び込んでいく。
薄暗くひんやりとする部屋の中に五段ほどの棚が三列並んでいて、所狭しと様々な薬草が並べられている。
町では売られていない図鑑でしか見たことがないような貴重な薬草も、ここにはしっかりと蓄えられている。
「相変わらず豊富ね」
「薬草庫が潤っていないと話になりませんから」
アデルに支えてもらいながら脚立に登って、上の棚も見てみようとするが、やはり背丈が足りなく思うようにいかない。
「よく見えないわ」
「そうですね。エミリーが自由に材料を取れるくらい大きな脚立を用意した方がいいと、オレリア様に言っておきますね」
「ありがとう。そうしてもらえると助かるわ」
エミリーは脚立から降り、一番下の段に山ほど置かれてある薬草に視線を止める。