花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「金を出せば彼女と過ごせるのか? それなら俺もあるだけ出そう」
いつの間にか、男の真横に金の縁取りが入った灰色の外套に身を包んだ人物が並び立っていた。
フードをまぶかにかぶっているため顔はよく見えないが、冒険者の男より背が高く声音も低く凛としていて立ち姿も様になっているからか存在感が半端ない。
突然の登場に驚きはしたものの、エミリーはその声に聞き覚えがあり、思わず笑みが浮かぶ。
「金額は知らん。でもそれの倍くらいは入ってるだろう」
「倍ではすみません。少なくても40000エネルは残っているはずですから」
外套の男の発言に、彼の背後に立つ男性が生真面目に補足を入れる。
後ろの男性は外套は羽織っているがフードをかぶっていないため、焦茶色の髪と仏頂面が露わになっている。
眼鏡を指先で押し上げた彼と目が合うと目礼され、エミリーは微笑みをたたえたまま僅かに頭を下げた。
「だそうだ。引くか? それとも張り合うか?」
フードを目深にかぶった彼が冒険者の男へと顔を近づけ、外套の下から伸ばした手で首に触れる。
「もしくは死ぬか」