花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

フィデルとの出会いは三年前、エミリーが魔法薬製造の基礎を教えてもらうために、オレリアのところに一ヶ月ほどお世話になっていた時、彼がたまたま店にやってきたのだ。

ふたりは知り合いだったようで、オレリアはフィデルを食事に誘い、そこにエミリーも同席することになったのだ。

そこでフィデルが、最近ヘンリットの町周辺で出没している巨大化し凶暴となった火兎を退治しにモースリーからやって来た冒険者であることを知る。

しかも話を聞けばもうすでに退治してきたらしく、エミリーは驚きを隠せない。

オレリアの店の手伝いもしていたので、火兎に果敢に向かっていった冒険者たちがみなひどい怪我を負って戻ってくるのを目にしていた。

大人たちでもそうだというのに、その時彼はまだ十四歳だった。

自分より一歳年上なだけで、仲間も今一緒にいる五歳くらい上だろう眼鏡をかけた男性だけ。これから退治しに行くというのなら、エミリーは間違いなく止めていただろう。

目の前にいる彼らは怪我どころか疲れた様子すらなく、倒してきたという話も最初は嘘かと疑ってしまったほどだった。

しかし、オレリアは少しも疑わず、「火兎の懸賞金額が一気に釣り上がったから、そろそろお前さんが来るだろうと思っていたよ」とさも当然の展開だという顔で話すため、エミリーは徐々にこの美男子は大人顔負けの強さなのかもしれないと考えを改めていった。

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