花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
グラント王国内の様々な場所に足を運んでいるという彼の話に目を輝かせ、知識量にもすっかり圧倒され、食事を終えた頃にはもうすっかりエミリーはフィデルと打ち解けていた。
それからは、フィデルが来るという連絡をオレリアからもらうたび、エミリーは彼に会うためにヘンリットの町へ出かけるようになる。
火の魔法を得意とし、今やエリート上級学校のモースリーアカデミーの二年生でもある彼はさらに知識を増やし、そんなフィデルと話をすることがエミリーにとって良い刺激であり、楽しみのひとつでもあった。
「おやおや、誰かと思えば」
やって来たオレリアがフィデルを見てわざとらしく驚いてみせた。そんなオレリアに対し、フィデルは不機嫌に眉を寄せる。
「ここ最近、頻繁に手紙でのやり取りが続いていたのに、なぜエミリーがエトリックスクールに入学したことを教えてくれなかった。おかげで、お前の店のあの性悪店員から聞く羽目になったじゃないか」
フィデルの言葉から光景を想像し、エミリーは苦笑いする。オレリアの店に彼と反りが合わない同年代男子の薬師見習いがいるのだ。
フィデルの文句をさらりと鼻で笑い飛ばして、オレリアはキッパリ言い放つ。