花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「知ればエミリーの周りをうろつくだろう? 街を案内してやるとかなんとか言って頻繁に連れ出されたら、勉学の邪魔になる」
「気晴らしは必要だろ? たまに連れ出すくらいなんの問題があるって言うんだ」
「問題ありだよ。エミリーには速やかに資格を取り私の店で働いてもらう予定でいるんだから、邪魔しないでおくれ」
オレリアといがみ合っていたフィデルだったがふと真顔になり、振り向かぬままに後ろの気配を探るような様子をみせた。その反応に、オレリアは僅かに微笑む。
「お前さんも気づいたかい?」
「……あぁ。モースリーに来ただけで見張られてるなんて、オレリアは相当嫌われてるみたいだな。殺気まで感じるぞ」
「先方と仲が悪いのは否定しないけどね、見張られてるのは私じゃない」
オレリアがエミリーをチラリと見たため、フィデルは大きく目を見開き、唖然とする。
「エミリーがどうして。……いや、今はそんなことどうでもいい」
そして、自分の傍に立つ眼鏡をかけた男性へと目配せすると、彼は頷いてその場からすっと姿を消した。
フィデルは真っ直ぐにエミリーを見つめて、真剣に問う。