花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「エミリー、エトリックスクールでの生活はどうだ?」
「どうって、別に何も」
ついさっきオレリアと同じようなやりとりがあったのを思い出し、エミリーは身を竦めながら周囲を見回す。
華樹祭でいつもより人出の多い中に、エミリーにはフィデルの言う「見張り」と思しき姿は見つけられない。
しかも「殺気」などという衝撃のひと言まで飛び出したため、一体なんなのよと口元を引き攣らせた。
「もしかして……薬師ではなく聖女を目指して学ばないかと提案されていないか?」
フィデルの指摘に、エミリーの鼓動がドキリと跳ねた。
「なっ、なんで分かったの? 実は学内にね、私の光の魔力を評価してくれている講師たちがいて、聖女クラスにも席を置くか、もしくはクラスを移らないかって誘われているの」
川や海のそば、森深い場所、強い風が吹き荒ぶ谷間、その昔繰り返し戦いが行われた因縁の土地などに、魔力を伴った果実や魔導具に欠かせない魔石を実らせる奇跡のような樹木が育つことがある。
聖樹とも呼ばれるその樹木は、金の成る木と言っても過言ではない。しかし、しっかり管理できればの話で、それには聖女という存在が必要不可欠である。