花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「さ、三十人、すごい人数だな。第二王子がまさかそのようなお人だったなんて。……で、エミリーは誰からそんな話を? エトリックスクールの関係者か?」
「いいえ、オレリアよ」
フィデルはオレリアへと顔を向け、無言のまま見つめ続けている。
エミリーからはフードが邪魔して彼の表情はよく分からないがオレリアには見えているようで、「なんだ知らなかったのか」と哀れみの眼差しを返した。
「とにかく、私は薬師になりたくてここに来たの。いつか自分の店を持ちたいっていう夢を叶えたい。……それに、仮に聖女という職業に興味を持ったところで、我が家には他のことを同時に学ぶ余裕なんてまったくないわ」
能力を認めてもらえたことは素直に嬉しく思うが、そんなお金があるのならこの先かかる弟たちの学費へ回したいのが本音である。
そこはかとなく険悪な空気を放っていたフィデルだったが、エミリーの言葉に「そうか」と少し寂しげに呟いた。
そこで、オレリアの元へ露店を任されていた一番弟子の女性がやって来て、「完売しました」と報告する。
「そうかい」とあっさり返事をしたオレリアに対して、エミリーは驚きを隠せない。