花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「……お父様のことだから、それらはすべて安値でよね?」
「大変い言い辛いのですが、無料ででございます」
頭を押さえながらの確認をシアメルににこりと笑って訂正され、「そうなるわよね」と半笑いになる。
バリーはおおらかで優しく、困った人を放っておけない。
自分の不利益になるのがわかっていても、相手のためになればと大幅に値引きをし、あるいは無料で分け与えてしまうくらい人が良い。
国王へ納税するための民からの徴収金に関しても、貧困に苦しむ者からは強引な取り立てをせず自腹を切ってしまうほど。
エミリーは父が好きだし慕ってもいるけれど、最近は頼りなく感じる時もある。そんなことをしているうちに貯蓄の底が見えてきてしまったからだ。
政治はもちろん学問や剣術などをより深く学ぶべく、貴族の子息たちのほとんどが通う上級学校モースリーアカデミーに弟たちを入学させたい母は困ったわねとため息をつく。
エミリーの三歳下の弟は双子なため、入学にかかるための費用はふたり分必要なのだ。
そこでエミリーはメイルランド家の収入を増やすために、薬師になる夢を叶えようと一念発起した。