俺が好きなのは、世界一可愛い君
怜ちゃんにかけても繋がらないことは、百も承知だからだ。



ママさんの電話は凄く早い。



今日も3コール目がなる前に電話に出てくれた。



『どったの~かえくん。あぁ分かった。怜香の事でしょっ。あのこったら、どうせ明日になっても熱下がんないんだし、一足先におばあちゃんの家に行こうって聞かないんだもの。 まぁまぁ距離もあるのに無理して移動するから、今寝込んじゃってるの。最初から分かってたのにおバカだねぇかえくん』



ならどうして無理だと分かっていて連れてったんだ?
 


『かえくん。今、ならどうして連れてったんだって思った? 女にはね、意地ってもんがあるの。だから母親のあたしが手伝ってやったの。ボウヤと何かあったのはすぐ分かったからね。だから君からさらってやったんだもの。ボウヤ、怜香が好きなら、自分で取り戻しにおいで。地図をあげる。』



ママさんは怜ちゃんと違って、すごくサバサバしている、モデル体型のスラッとした格好いい女性だ。



そんなママさんは、普段は俺をかえくんと呼び、ごくたまに、子供扱いするときだけボウヤと呼ぶ。

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