俺が好きなのは、世界一可愛い君
驚いて音がした方を見ると、やはり知らない車だ。



だがゆっくりと走る車は、明らかに俺へとクラクションをならしている。



あぶない人種か?



すぐに逃げられる体制をつくった上で、車をじっと見つめる。



すると、ウウィーンと、音をたてながら、後部座席の窓が開いた。

 
そこにいたのは、



「はぁ? 早乙女?」



なんとも間抜けな声が出た。



「楓! すぐ来るからそこで待ってて!!」



早乙女に会うのは昨日ぶりだ。



昨日の様子と、たった今妙に間延びした話し方をしなかったのを見て、話くらい聞いてやろうと歩みを止める。



早乙女を乗せた車は近くのコンビニで止まり、そこから早乙女と、運転席に座っていた母親と思わしき人が降りてきてこちらへやってくる。
 
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