俺が好きなのは、世界一可愛い君
なかなか話が進まない様子を見かねて、ずっと黙っていた早乙女の母親らしき人が口を挟む。

「若菜くん……だったかしら。この子がいろいろやらかしちゃったみたいで……迷惑かけて、ごめんなさいね。怜香ちゃんが折角の冬休みに寝込んでるのもそのせいなんでしょう?」

そう俺に謝罪をしたあと、先程の早乙女の言葉の意味を教えてくれる。

「私達、正月になると旦那をおいて一足先に車で帰省するのだけど、ちょうど怜香ちゃんも回復する頃だし、一緒にどうかしらと思って……」

「そうですか……ですがすいません。俺、怜ちゃんの母親に、自分で連れ戻しに来いと言われてまして」

「何いってんの!? ツテを使うのだって自分の力でしょう!!」

1度断ると、早乙女にそう怒られ、半ば押しきられる形で同行することが決定した。
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