幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 その途端…… 
 全身がドス黒い感情で覆われていくのがわかった。

 獣めいた凶暴な感情が心の底から吹き出してくる。

 おれがグズグズしてるから、またこんな目に会ったんじゃないか。

 もう嫌だ。
 もう諦められない。
 こんなに好きなのに。

 そうだよ。
 ちさ姉が帰ってきたら、有無を言わさず、その場でヤッちゃえばいいじゃん。

 あいつら、まだそこまでいってないだろうから、先にちさ姉をおれのものにしちゃえば……


 理性がすぐさま、頭に浮かんだ考えを打ち消した。

 何考えてるんだ。
 なんのためにこれまで必死で自分の気持ちを抑えつけてきたんだよ。

 おれが欲しいのは、ちさ姉の身体なんかじゃない。
 
 心だ。

 ここにいちゃいけない。

 一度、頭をもたげてしまった獣を抑え込む自信がない。

 ちさ姉の顔を見たら、おれ、本当に何するかわからない。

 早く出ていかなきゃ。


 
 とりあえず、リュックに財布と壊れたスマホだけ突っ込んでドアを開けた。

 そして非常階段で階下まで降り、そのまま薄暗い裏通りに走り出た。
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