彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「途中で何度も教育実習生だって言おうと思った。だけど、それを伝えると君の態度が変わるんじゃないかと思って、怖くて、それで言えなかったんだ」


今までの気持ちを吐き出すように伝えてくれる佳太くん。


その声は真剣そのもので、私には嘘をついているようには見えなかった。


信じていいの?


先生のその言葉を、私は信じちゃうよ?


「私をA組へ戻すことで株が上がるって言われた」


坂下さんに言われたことをそのまま口に出してみた。


こんな試すような言い方をするなんて可愛くないってわかってる。


だけどこれは聞かなきゃいけないことでもあった。


「それは、確かにそうなんだ。生徒の悩みを聞いてちゃんと教室へ通えるようになったら、どんな先生の株だって上がる」


佳太くんはごまかさず、ちゃんとそう言ってくれた。


「だけど断言する。俺はそのために矢沢さんに近づいたわけじゃないってこと。教師とか生徒とか関係なくて、ただ1人の男として矢沢さんのことが好きだから、会いに行っていたこと」


佳太くんの言葉がジワジワと胸に広がっていって、それは涙腺を伝って涙となって流れ出してきた。
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