彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「でも結果的に君をすごく傷つけることになった。本当にごめん」


佳太くんの指先が私の涙を拭う。


「あの、キスは?」


背の高い佳太くん相手に上目使いになって聞くと佳太くんの顔はまた真っ赤にそまった。


「それは、その……弱っている矢沢さんが可愛くて、つい、我慢できなくて」


ごにょごにょと言葉を濁しながら言う佳太くんの顔を覗き込む。


彼の顔を見たい。


どんな顔で、どんな表情をしているのか、雰囲気や声だけじゃなくて、ちゃんと見たいと思った。


それでもやっぱりその顔を認識することができなくて、もどかしい気持ちになる。


「そんなに見るなよ」


佳太くんは視線をそらしてそっぽを向いてしまった。


私の涙はいつの間にか引っ込んでいる。


「ここまで言ったら俺の気持ちわかってくれた?」


私は首をかしげる。


「先生、私人を好きになったことって初めてなんです。もう知っていると思いますけど、小学校の頃に事故似合って、後遺症が残って。それから人を好きになることってなくて、だから、ちゃんと全部言葉にしてもらわないと、わからないんです」


私の催促に気がついた佳太くんが困ったように首をかしげている。


「わかったちゃんと告白する」


佳太くんはそう言うと、少し下がって私の両肩に手を置いた。


そのお起きた手のひらのぬくもりにドキドキしてしまう。
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