白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
「あくまでも僕の解釈だから、合っているかどうかは自信が持てないけれど」
そう断りを入れてからアーネストは説明をはじめた。分かりやすくて聞き入ってしまう。その間、彼はマチルダへ視線を向けて言葉を紡ぎながら、手元のノートに何か文字を書いている。書き終ったのか音も立てずにページを破り、そっとマチルダへ差し出した。
悪戯っぽく笑う目に見つめられて心臓が高鳴る。出来るだけ自然な仕草でノートの切れ端を受け取り、さりげなく視線を落とした。
『明日も君を待っていてもいいかな』
思わず声をあげそうになって必死に飲み込む。
「どう? 分かった?」
アーネストの笑みが深くなった。
悪戯が成功した子供のような表情だ。断られるとは微塵も思ってはいないのだろう。
少し癪ではあるけれど断るつもりもなくて、マチルダは小さく頷き返す。初めてもらった手紙というには飾り気のない切れ端を大切にカバンにしまい、はにかんだ笑みを浮かべた。
心が温かい。
マチルダは今、恋をしている。
そこから先はあっという間だった。
調べ物を終わらせた後、初めて見る綺麗な絵柄のカードゲームにアーネストと共に興じることでさえ、とても特別な時間としてのめり込んだ。
子供の頃から決められた婚約者がマチルダにはいる。
婚約者のことはもちろん嫌いではない。良い家庭を築き、やがては子を成して家を存続させていくことも、不安はあるが上手くやって行けると思っていた。
けれど、それは彼女にとって異性に対する愛情ではなかったのだ。
いずれは決められた相手の元へ嫁ぐはずのマチルダは、人生で初めて心からの愛情を捧げられる相手を見つけてしまった。
婚約者がいてもなお、自らを激しく揺さぶる感情はこれまで学んで来たたくさんの知識の中にどこにもなくて、逆らう術など持てるはずもなかった。
そう断りを入れてからアーネストは説明をはじめた。分かりやすくて聞き入ってしまう。その間、彼はマチルダへ視線を向けて言葉を紡ぎながら、手元のノートに何か文字を書いている。書き終ったのか音も立てずにページを破り、そっとマチルダへ差し出した。
悪戯っぽく笑う目に見つめられて心臓が高鳴る。出来るだけ自然な仕草でノートの切れ端を受け取り、さりげなく視線を落とした。
『明日も君を待っていてもいいかな』
思わず声をあげそうになって必死に飲み込む。
「どう? 分かった?」
アーネストの笑みが深くなった。
悪戯が成功した子供のような表情だ。断られるとは微塵も思ってはいないのだろう。
少し癪ではあるけれど断るつもりもなくて、マチルダは小さく頷き返す。初めてもらった手紙というには飾り気のない切れ端を大切にカバンにしまい、はにかんだ笑みを浮かべた。
心が温かい。
マチルダは今、恋をしている。
そこから先はあっという間だった。
調べ物を終わらせた後、初めて見る綺麗な絵柄のカードゲームにアーネストと共に興じることでさえ、とても特別な時間としてのめり込んだ。
子供の頃から決められた婚約者がマチルダにはいる。
婚約者のことはもちろん嫌いではない。良い家庭を築き、やがては子を成して家を存続させていくことも、不安はあるが上手くやって行けると思っていた。
けれど、それは彼女にとって異性に対する愛情ではなかったのだ。
いずれは決められた相手の元へ嫁ぐはずのマチルダは、人生で初めて心からの愛情を捧げられる相手を見つけてしまった。
婚約者がいてもなお、自らを激しく揺さぶる感情はこれまで学んで来たたくさんの知識の中にどこにもなくて、逆らう術など持てるはずもなかった。