白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
「どう、して……クロード様だったの、ですか。クロード様じゃないと、いけない理由でもあったのですか」

 他にもいくらでもいたはずだ。

 もちろん、クロードではない誰かが巻き込まれたら良かったと思っているわけではない。

 でもどうしてクロードでなければいけなかったのか。その理由があるなら隠さずに教えて欲しい。謝罪よりもずっと、ロゼリエッタが求めるものだ。

「――そうね。どうしても、彼でなければならなかったの」

「何故ですか」

 尋ねてはみたけれど、その答えは知っていた。

 レミリアが小さく首を振る。それだけで、やっぱりと察してしまう。

「クロードが言わなかった以上、私の口からは何も言えないわ。本当にごめんなさい、ロゼ。私のことを恨んでくれて構わない。でもどうか、クロードのことは許してあげて」

 予想通りの返事に笑みが浮かんだ。


 "ロゼリエッタには教えない"


 クロードもレミリアもそうやって目に見えている秘密を共有して、なのにロゼリエッタの理解や許しを得ようとする。何一つ教えられてなどいないのに、何を理解し、許せばいいというのだろうか。

 半端にちらつかせたりすることなどなく、最初からそこには何も存在しない。そうやって徹底的に隠し通してくれた方が、よほど誠実な態度に思えた。

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