sugar spot
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辿り着いた小洒落た内装のそのお店は、"カフェ"と名前にも付いているけど夜はダイニングバーとしても賑わうそうで。
「めっちゃ頑張って調べました」と先輩に枡川さんが苦笑いと共に話をしていたのを盗み聞いた。
今日はパーティースペースとしても利用されるフロアを貸切っての会で、主賓だからと私と能面男は、長テーブルの真ん中に向かい合うように案内された。
幸先が最悪だ。
最初のドリンクを頼む流れになって、枡川さんがメニューを差し出してくれる。
「…梨木さん何飲む?
お酒苦手だったら無理しないでね、ソフドリも結構充実してるよ。」
「ありがとうございます!えっと、…」
微笑みと共にそう言われ、メニューに視線を落としたところで古淵さんがウキウキと枡川さんの隣にひょこっと現れた。
「梨木っちは、お酒強いの?」
「(梨木っち…?)あ…いえ、」
「ちなみに枡川は、顔赤くなるくせにめっちゃ強いんだよなあ。」
「余計なこと言わなくていいから。」
彼の発言を目を細めて制する枡川さんに思わず
「そうなんですか?」
と、尋ねてしまった。
「そうでも無いよ、嗜む程度だよ。」と気恥ずかしそうに言う枡川さんに、古淵さんが「牽制すんなって!」と、謎のツッコミをしていた。
多分、"謙遜"の間違いだと思う。
「で、枡川は何飲むの?」
「え?生ビール。」
「こんなにお洒落なカクテルいっぱいあんのにい!?
俺、ピーチリキュールにしよ。」
「古淵、私より女子力高いもの頼むのやめてよ。」
それでもその後に続いた会話が聞こえれば、やっぱり枡川さんはお酒が強いんだろうな、と簡単に読み取れた。
「…でも俺、営業で飲む機会も増えたからか、お酒強くなったかも。」
「ええ?そんなことある?」
「やっぱり何事も日々の積み重ねだよな!」
枡川さんは、俄かに信じ難いという表情そのものだったけれど私には聞き流すことが出来ない言葉だった。
「私もビールにします!!」
「え!梨木さん好きなもの頼んで良いんだよ?」
「いえ!!ビール飲みたいので!」
「そっか、梨木っちもお酒好きか〜」
そうして決意を固めて発したオーダーは、声のボリュームがやはり少し大きくなってしまった。