sugar spot



「穂高は?どーする?」

「あ、俺も生ビールでお願いします。
ありがとうございます。」


私達の注文を聞き終えた幹事のお2人は、忙しそうに店員さんの元へと向かっていった。

大人数の歓送迎会を任されるのってやっぱり大変なんだな、と申し訳なさを抱えつつ、その後ろ姿をぼうっとひとしきり見終えて、再び自分のテーブルに視線を落とす。


そして、おしぼりに手をやった時、前方から"何か"を察知して顔をゆっくりと上げた。



「………何。」

「…別に。」


絶対こちらを凝視していたくせに、問いただせばそんな風に絶妙に腹の立つ短い返事を真正面から食らった。

駄目だ、こんなことでいちいち気にしてたら、ここからの時間が保たない。

深呼吸しながら、広げたばかりのおしぼりを丁寧に巻き直していると、


「…おい。」

「……だから、何?」

「お前さ、馬鹿なの?」

「……は…?」


目の前の整った能面が、低い声でそう告げてきた。


こいつ、今なんて言った?



ぽかん、と口の開いたままに聞き返すけど、能面は能面だから表情なんて崩れない。

ただただ形の良いアーモンドアイがこちらを冷えた眼差しで見据えていて、私も眉を顰めるしか無い。



「……今、馬鹿って言った?」

「言った。」

「…なんで?」

「馬鹿だから。」

「……」

人は本当に怒ると言葉なんて失うことを、今まさにありありと感じている。



この男を、丁寧に殴らせていただきたい。




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