sugar spot



そして本当に、大変な日々が始まった。

工場の人と連携しつつ、クッション部分を制作してくれる会社を南雲さんのツテも頼りになんとか見つけて。

生地やクッションの硬さなどもテストを重ねて作っては、サンプルが上がってくる度に敷波さんの所へ持って行って、実際に何度も座ってもらって。


埼玉のオフィスへ実際に足を運ぶと、多くの社員の方々が、整然と机が並べられただけの空間で黙々とパソコンに向かい合う姿がよく目立った。


時々、椅子の座り心地がよく無いのか、肩や首をしきりに回したり、腰痛クッションを持参している人も見かけた。


「お待たせしました!…梨木さん?」

「あ、すみません、こんにちは!
サンプルお持ちしました。」

「どうかされましたか?」

「…あ、いえ。

敷波さん。
“健康的なオフィス“づくり、頑張りましょうね。」


脈略なく、私を迎えに来てくれた敷波さんにそう告げたら、驚いて目を丸くした後。

「はい、よろしくお願いします」と、いつものように少し頼りない、だけど優しい笑顔を向けてくれた。
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