sugar spot
他の人が担当してたらもっと色んな異変に、
早く気がついて、対処出来てたんじゃないのかな。
私がもっと、頼りがいのある担当だったら。
敷波さんももっと遠慮せず、なんでも
打ち明けられたかもしれない。
…僕は、最初から、間違えていたんでしょうか。
少なくとも、あんな苦しい声を
出させることはきっと無かった。
____ちひろさんだったら。
彼女なら、どうしただろう。
そんなことばかり、考えてしまう。
「……梨木。
あんたそんな風に考えて仕事してるの?」
「え?」
「他の人だったら、とか。
そうやって、誰かと比較していつも仕事してるの。」
鋭くて形の美しい瞳が、
なんの濁りもなく私に視線を注ぐ。
尋ねられたことは全くその通りで、言葉も無くただ見つめていたら、ふと視線を逸らして「やめなさい」と、短く告げられた。
「…え?」
「そんなスタンスで、自分を殺してなんとかやってるなら、あんた、営業なんか向いてないわ。
やめなさい。」
「…、」
「来週の人事面談。ちゃんと予定確認して
希望の日程連絡して。
今後のキャリアも、異動含めて相談乗るから。」
キッパリと言い放った彼女は、再び立ち上がって、表情を緩めることなく「お疲れ様」と、平静に挨拶を残して去っていった。
なんの反論も出来なかった私は、とてつもなく惨めで。
そういう自分が、やっぱり情けなくてたまらない。