sugar spot
◻︎
「……きもちわるい…、」
自分の今の状況を音にして吐き出したら、なんだかより悪化した気がする。
目を閉じて研ぎ澄ませた世界が、面白いくらいに不安定に揺れた。
「…ビール、美味しくなかった……」
口にまだ、苦味が残ってる。
よくCMやドラマで見かける社会人達は、美味しそうにそれをいつも仰いでいるから、就職したら、自ずとビールの美味しさを感じるようになるのかなってちょっと期待してしまった。
…というより本当は、お酒の嗜好を知るとか、そんなラインにも立ってない。
私は、お酒が全く強くない。
1缶を空けるのも精一杯で「意外だね!?」と、この大雑把なキャラのせいかそう言われることも多いけど、両親も強くないから、もう遺伝的なものな気もしている。
学生時代の飲み会でも、研修中に何度かあった同期での飲み会でも、そんなに気にせずソフドリを選んできた。
「…でも俺、営業で飲む機会も増えたからか、お酒強くなったかも。」
……だけどやっぱり。
お酒は飲めた方が、良いんだろうなあ。
古淵さんの言葉は、簡単には聞き逃せなくて、トレーニングしたら強くなるのかと淡い期待と共に、飲んだことのない生ビールにチャレンジしてみた結果がこれだ。
グラス一杯も結局まだ、飲み干せてない。
お手洗いに行くフリをして、火照った身体を少しでも冷ませたいと、お店の外に出てきた。
邪魔にならないよう、入り口を避けて立ち止まるとズルズルと膝を抱えてその場にしゃがみ込んでしまった。
会自体はもう、コース料理も殆ど終わって終盤に差し掛かっている。
だけどそれに逆にホッとしてしまったのか、気が緩んだらよりアルコールが回った。
どうしよう、戻らないと、あまり長くここに居たら不自然に思われるのに。
その焦りが、より一層脈を容赦なく速めて、呼吸を乱して立ち上がることが難しくなる。
落ち着かせるどころか、順調に体調が悪くなっている感覚がある。