sugar spot


視線を上げると、やけに身長が高い私と同じ、今日の主賓である能面男が立って居た。


そのまま私と、隣に居た女性を見下ろす男は、冷めた綺麗な瞳のまま

「なんですかその石っころ。」

と、女性に問う。


「い、石っころって…。
これはね、全てのことが上手く進むパワーのある石なの。」

「…へー、興味ありますね。」

「え、そう!?じゃあ是非貴方も一緒に…」

「ただ俺たち今、ちょっと会社の飲み会中なんで。
なんか名刺とかいただけませんか?」


平然とそう願い出た男に、女性も、傍に居た男性も気を良くして、いそいそと名刺を探っている。


…こ、この同期の男、
もしかしなくてもアホなのだろうか。


まだまだ気持ち悪さの残る中でどう言えば良いのか分からず、すぐ側に立つ能面のスーツの裾をぐ、と引っ張った。


私の行動に意表を突かれたのか、目を見開いて視線を向けてくる有里に

「(あんた何考えてんの…!?)」

と、目線だけでなんとか訴えかければ、
口パクで「ばか。」と言われた。は?




「私達、こういうものです。」

キラキラの笑顔を携えた男女の名刺を丁寧に受け取って、「へえ。」とだけ呟いた男は、そのまま特に自分の名刺は出したりしない。


「ぜひまた後日お話させていただきたいので、お2人のお名刺やご連絡先も…

「犯罪一歩手前、ってとこですか?」



女性の言葉を遮ってそう告げた有里の言葉は、あまりに冷ややかに空間へ落とされた。


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