sugar spot
血相を変えて、そんな表現がピッタリの顔で
枡川さんが私達に近づく。
「…枡川さん、すみません…、」
先程の店員さんに聞いたのだろうか。
不安そうな顔で私を覗き込む彼女に、申し訳なさがただただ募る。
隣にいた男は、いつのまにか私を掴み上げていた腕を離していた。
「……梨木さん。」
自分が格好悪過ぎて情けなくて、
歪めた顔のまま俯いてしまう。
この状況を、どう説明したら良いんだろう。
「_____こいつ、変なパワーストーン
売りつけられててウケました。」
「え!!?」
「え、」
やはり抑揚の無い平然なトーンが届いて、私まで短く声をあげた。
思わず顔を有里の方へ向けても、その綺麗な瞳と視線は交わらない。
「店員さんが体調悪そうだったって教えてくれたから急いで来たんだけど……」
「田舎者だからそういう勧誘に慣れてなくて、ビビったみたいです。顔色悪いから店員さんにも気を遣わせたんでしょうね。」
「そ、その怪しい人達は…!?」
「お店の外で話して、もう帰ってもらいました。
大丈夫です。あ、一応興味本位で名刺貰っておきました。」
「有里君は、冷静で逞しいね…?
古淵が直属の先輩なのが今、一気に不安になってます。」
枡川さんの言葉に、少しだけふ、と瞳を柔らかくした男はそのまま腕時計を見やる。
「2人して離席してすいませんでした。戻ります。」
「全然大丈夫、こっちこそごめんね。
梨木さん、怖い思いさせたね。」
どんどんと予期せぬ方へ進む会話の最後に、枡川さんに謝られてしまった。
ふるふると首を横に必死に振ると、若干アルコールがまた回ったけど、そんなことは、ぐ、と耐える。